2021年4月11日日曜日

Lettera Dal Vesuvio

自分の年齢が折り返し地点を過ぎたためか、
”そもそも”に前より目が向くような気がします。

あまり関心の無かったカメオについても、
Mennella Rosario作品の窓から眺めた景色は
個人的には非常に興味深い。
”カメオ”も大別すると
メノウなどの石を彫る”ストーンカメオ”と
貝を彫る”シェルカメオ”に分けられます。
おもな生産地は
ストーンカメオ=ドイツ
シェルカメオ=イタリアとなり、
ご紹介するカメオは後者、シェルカメオ。
ポンペイを灰燼に帰したヴェスヴィオ火山の麓、
トーレデルグレコ(Torre Del Greco)という小さな町で
全世界の95%が制作されています。
といっても、そこはイタリアの産業。
大企業というより家族経営、個人経営の寄り合いで、
ご近所同士のお付き合いな感じのようです。
ジュエリー業界をちょっとかじると(笑)
イタリアといえば金細工、カメオ、そして珊瑚。
もともと、トーレデルグレコは珊瑚彫刻の町でした。
珊瑚は遠くアフリカのマダガスカルから送られていて
ある時、その荷物にちょっと面白い貝殻が入っていて
(これがクラシックカメオに使われたコルネリアン)
ちょっと遊びで(店主超解釈かも?)彫ってみたら
面白いものが出来た、といったところのようです。
偶然のような必然のような、もともとあるものを
工夫して新しい価値が創造される、
こういうルーツはとても好きです。

現在、ワネストでは葉っぱの切り絵作家、リトさんの
個展が大盛況で連日100名を超えるご来場のようです。
貝殻でも葉っぱでも、そこに新たな命を吹き込む
ことが出来るということですね。

現代のカメオはコントラストがはっきりする
サードニクスというシェルを使うのが主流で、
こちらはおもにカリブ海で産出されるそうです。
ものづくりの情熱はいつの時代もボーダーレス。
まだまだ新しいシェルカメオの素材もあるかも? 
しれません。

さて、Rosarioさんの作品。
お客様もカメオなの?という反応が多く、 
新しさも感じていただいているようです。

作家に見せた時は、

『素敵、でも薄いですねー』

無知で毎回ご面倒お掛けしております。(苦笑)

苦労を乗り越え、イタリアのカメオ作家と 
日本の錺やの技術と人柄が融合した、
クラシカルで遊び心ある作品が生まれました。






黄金の象が棲む聖なる山から流れる溶岩から
数千年の時を経て発掘された宝飾、

Lettera  Dal Vesuvio

“ヴェスヴィオからの便り“

是非ご覧ください。





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