2020年7月26日日曜日

カン。

プレハブに激しく打ちつける雨。
目覚ましが鳴るちょっと前に起こされる。
トラックが既に到着しているのは気付いているけど
荷捌き後のシート掛けも100%ずぶ濡れなので
小降りになるまで寝たふりを決め込むものの
結局変化の兆しなく荷捌きを開始&ずぶ濡れ。
シート掛けが終わった頃に小降りになるという
洗車後の雨みたいに残念な土曜日の朝。

今週の夜は井戸端談義のようなことが続き
これはこれで”ワネスト長屋”らしさを楽しむ。
今どき、なかなかないことではないかと思います。
(笑)

その”長屋”ワネストのあかね.yaさんと一緒に扱う
(そもそもこれもかなり珍しいことです)
sasico_tteさんのマスクは相変わらずの人気で
入荷するとポツポツ旅立ってしまいます。
最近の状況も影響していると思いますが、
リピートされる方も多く見受けられます。
取り扱い当初、ホワイト系の目立たないものが
好まれましたが、ピンク、パープル、グリーンなど
カラーを選ばれることが顕著な傾向で、
長期戦とともにマスクもファッションアイテムに
なってきたようです。
トレンドを作家に報告すると、

『早くマスクが不要になることを願っています』

というご返事。
一方、マスクは使う人の気持ちになって少しでも、と工夫と改善を怠らない姿勢に心を洗われます。
少しご両親のものづくりを拝見したことがあり、
その姿勢と重なるのが2代目の僕としては
とても嬉しかったり。


ゼロをイチにする初代はおよそ、
人に教える余裕もなくただ闇雲に突っ走り、
宿題を片付ける2代目。
3代目となると、どこかで自ら変化を決断しないと
時代の流れに飲み込まれてしまうのが世の常。
2代目は”今そこにある危機”で選択の余地がない(笑)
場合も多いかもしれませんが、
3代目となると、状況を客観的に見て、
遠回りをして世間を広げ、
あらためて選択することもパターンの1つ。

SNSで発信される文章の温かみが魅力で、
いつかは、と思っていたある3代目の方に
お会い出来ました。
文章から受ける印象通りのお人柄。
こういう”カン”が当たるのは嬉しいものです。

翻って自分の文章がどんな印象を与えるのか?
正直まったくわかりません。(苦笑)
考えるとかなり怖いことになります。
なのでブログの公開ボタンをクリックするのは
いつまでたってもちょっと目をつぶって。

エイッ!!
たそがれruby





2020年7月23日木曜日

ダム。

『遅くなってすみません。』
連休前の混雑からか22時前に積込、
『なるはやを希望』
というLINEは早朝荷卸のドライバーより、
そんな連休スタートです。(苦笑)
今日から4連休。
状況とにらめっこしながら
それぞれの予定を決めていることでしょう。

会いたいときに会う。
行きたいときに動く。

この期間により感じていることですが
あの時ああしなければよかったと
ならないようためらってしまうことに
ややどんよりとさせられます。

6月1日の営業再開より2か月。
落ち着かない日々、天候も不順続き。
それでも途切れることなくご来店いただくお客様に
今まで以上に力を頂いていると思いますし、
今まで以上に一期一会を大切に、
店でのひと時をお楽しみいただけるように、
という気持ちも強くなったと思います。

一度立ち止まることで、
何が出来るのか?
何をすべきなのか?
また、何がしたいのか?

しなければならないことに埋もれ、
身動きが取りづらくなっていたことから少し逃れ
身軽になり、シンプルになったような気がします。
どうしても黒船来襲でしか気づくことが出来ない
弱~い自分を変えなきゃ、というストレスよりは
自分との長い付き合いから無念ながらも
少しずつ受け入れることで、なんとか
壊れないようにすることを覚えました。(笑)

前向きな課題がいくつかあり、それに対して
ダムのようにもう少しインプットを増やしつつ
どのように放流(ご紹介)するか思案を巡らす、
これはこれで学び多く楽しい作業。

"Only when it is dark enough can you see the stars"
   -by Martin Luther King Jr.-

何年かに一度、頭の奥から棚卸しする
おまじないの言葉とともに。(笑)



2020年7月18日土曜日

そういうものに。

夜遅くの積込、夜明けの荷捌きから
土曜日朝のルーティーン、輸出バンニング。
その間ずっとシトシト降り続く雨。
今週も原料の天日干しが出来たのは数時間でした。

雨ニモマケズ・・・
と達観には至らず

慾ヲモチ
セッセトレインブーツヲナラベテイル

というチイサナミセデス(笑)

『私の年齢でどうかしら?』

と、母娘でご来店のお客様。
ワインカラーかブラックか?
消極的にブラックを選ばれるよりは
ご試着時の表情も華やいでいたワインカラーを

『皆さんが自由に色を楽しむことで
 僕らの世代をラクにさせてください。』

とお伝えしました。
かなり身勝手ですが本心です。(笑)
幾多の荒波を越えて現在がある。
まだ僕には見えない景色を少し自由に楽しむ、
そんな皆様の姿がいつかの僕たちに、より自由を、
その時を楽しむ術を与えてくれるものとも思われ、
ましてや小さな店でのご縁、せっかくなので
いつもと少し違うチョイスをしてみることで
意外とその後の見えるものまで変わるという
体験の一助になれば、と思ったりもしています。

スタッフが着用していたテディベアのTシャツ。
大変好評と興奮気味に報告がありました。
褒められるのは嬉しいものですよね。
一方、ならば!!とすかさず追加注文をかける店主。
(イヤラシイ?)
サウイフモノニナリタクナイデスネ・・・


追伸 レインブーツはワインを選ばれました!!





2020年7月12日日曜日

伝播。

南風の午後。
近くを流れる荒川付近で旋回し、
羽田へと向かう飛行機が我が家の上空を次々と
飛び交うのをベランダでぼんやり眺める。
見つけるとスマホアプリで便名をチェックし、
どこから来たんだな、などちょっとした旅気分を
味わえるステイホームな休みの楽しみです。
いつか飛行機から我が家を見つけたいものです。

この新ルートもオリンピックの増便対策でした。
例年ですと8月第1週土曜日に開催される 
地元の花火大会もオリンピックに合わせ
5月に開催される予定でしたが中止。
(日程変更は今日知りましたが・・・)
本当に様々な分野で予定の変更、中止を
余儀なくされなんとも季節感を味わえない中、
唯一、梅雨空続きだけが例年以上に
それらしいという皮肉。

停滞しがちな季節ですがワネストの女性店主たちは
あの手この手でお客様を楽しませようとしていて
こちらもウカウカしていられません。(笑)

動けないことを動かない言い訳にしてしまえる
状況ですが、お互いこの雰囲気は大切にして
ゆきたいものと思います。
こういう中での振る舞いに案外、
本当の気持ちや姿勢があぶり出されるものです。
エネルギーもまた伝播してゆくと信じています。

ジュエリー工房より、
お願いしている大作の途中経過が届きました。
スマホの画面からでも作家のエネルギーが
伝わってきてワクワクします。
宝石は一期一会とつくづく感じますが、
中でもちょっと(いや、かなり)個性的。
抱擁力のある作家でないと受け止めてさえ
頂けないかと思われます。
そのエネルギーを受け止め、皆様にどう伝えるか?
自分なりに少しでも作家のそれと同期出来るよう
掘り下げてみることから、自分にとっても
新しい扉を開くことにも繋げてゆきたいです。


2020年7月8日水曜日

メリー。

”はじめに言葉ありき”

ひとり仕事はとりあえずやってみることから、
誰かと一緒に、誰かにお願いする時には自分なりに
腑に落ちる言葉を探す作業から始めることが多い。
小さな引出しから聖書の1節まで持ち出して
気取っているように思われるかもしれませんが、
だから僕の場合、独り仕事にはやらなくてもよい、
という甘えが出てしまうこともかなり多いという
言い訳に繋げるための前フリです。(笑)

I want to do something.

Let's do it together!!
へ変換するためには言葉探しから如何に
”借り物でない言葉”にまで落とし込めるか?
”腑に落ちる”とはそんな意味になりますが
そのプロセスを経て磨かれた言葉には
(僕の場合はなんとか絞り出したかな)
やはり伝わる何かが宿るものと思っております。
言葉を表明する以上責任も伴いますし
不言実行という強さに憧れもありますが
残念ながら自分に甘~いので”言葉ありき”です。

現在、いくつかI want to doの変換作業を頭に入れ
コーヒーのドリッピングのような状態。
1つは先代も考えていたことへの入り口。
時間を掛けて取り組むべきことではありますが
強豪私立校との対戦が初陣となった試合前の円陣で
”ONE TEAM”となり、見事勝利を収めたように
いいきっかけになるといいいのですが・・・。

久しぶりに会った同級生がきちんと体型を維持する
努力を続けていることにさすがの僕も刺激を受け、
(ありがとう)
娘たちがどうせ続かないとタカをくくっている
父親像をたまには覆してみようかと、
日曜朝に晴耕雨読な緩いテクテク歩き。
いつもの移動はとにかく最短でと慌ただしいので
それとは逆に1つ違う路地を曲がってみたり、
存在すら忘れていた歩道橋を渡ってみたり。

もともと体育会系なのでこういうこともついつい
歩くより走る、走ればより速くとなりがちでしたが
ここまで初期化状態ではさすがにそれは無理と
悟るようになり、初めて気軽になれたことは
ちょっと悪くないかもと思っています。
隣町の我が故郷、団地までテクテク。


我が家のあった最上階、兄貴とカラバット野球で
負けてはいじけ、何本の蛍光灯を割ったか知れぬ
エレベーターホールへ行く。
綺麗な富士山と建物が増えてゆく景色を眺めるのが
好きだった窓からは廃校となった母校が見える。



階段を降りると自分と同い年の建物は亀裂だらけで
”ゴーイングメリー号”のようでなんとも切ない。
商店街では昔の顔が変わらずに働いていて
子供たちの野球の聖地では白髪の永遠の子供たちが
下手投げのソフトボール。
他校とナワバリ争いをしたグラウンドのベンチは
朽ちかけ、一方で木々は大樹となり森のよう。

それだけの時が過ぎた、ということを実感。



2020年7月5日日曜日

偶然。

毎日シトシト続く雨。
今年は梅雨らしい梅雨となっています。

毎朝従業員の食糧買い出しにコンビニへ寄りますが
マスクにエコバッグまで増えた入店セット、
つい忘れ、急ぎ車へ取りに行くことの繰り返し。
この状況でエコバッグを店員さんに触らせるのも
なんか悪いのでせっせと自分で放り込んでいます。
(笑)
もしマイクロプラスチックによる海洋汚染から
今回の規制となったとすると、問題はむしろ
入り口(使用)より出口(処分方法)にあるかと。
この手の話しを家でブツブツ言いだすと
また始まったと面倒臭そうな娘たち。
齢を重ね、物事斜めに見てしまうこともあります。

当店でご案内している靴は佐賀のJUMBOさん。
柔らかい革、履き心地のよさも常に追求されている
真面目な靴工房の側面はもちろんなのですが、
時々どう見ても原価計算など後まわしにして、

”面白そうだから”

社長がGOサインを出して職人を泣かせている?
(間違っていたらごめんなさい)
と思われる意欲作も織り交ぜる遊び心も魅力です。

『いつも黒か茶を選びます』

というお客様に、なるべく失礼のないようにですが
あえて少し変化球をご案内すこともあります。
ご自分のスタイルを持つことは本当に素敵で、
そうでない自分にはむしろ眩しいものです。
どこでも買える時代にちいさな店を訪れる。
単なる偶然でしょうが余程の偶然だと思います。
そんな偶然の機会をいただく場として、
いつもと少し違うことをお楽しみいただけるか?
ちいさな店の進む道もそこにあると言えましょう。

”ひとまずベージュで” よりも
”やっぱりメタリックなサーモンピンクで” と
決められた時のお客様の表情はとても楽しげです。

『佐賀のやさしい靴です。』

なんとも平凡なご紹介することも多いのですが、
実際に工房へ赴き、自分なりにそこにある
空気感、雰囲気から出てきた嘘のない言葉です。

『えっ、佐賀ですか?』

佐賀ご出身のようで、信用度もグッとアップ。
帰りには”佐賀の靴をどうぞよろしく”という
お言葉まで頂戴しました。(笑)

偶然通りかかった店に靴があり
それが偶然自分のルーツと繋がり
思い切って新しい自分を引き出してみる。
まさかのダッドシューズ


お帰りの表情が明るさに満ちておりました。
そんな日の気持ちをシェアしたくて
家族に話すと・・・

それぐらいがちょうどいいのかもしれません。






『佐賀の優しい靴です』


2020年7月3日金曜日

丸い。

試験最終日の追い込みで夜明けまで勉強していた
長女とバトンタッチ。
勉強してなくて試験前になると机を片付けていた
父親と違いきちんと準備をしていて頼もしいです。

凄い年、2020年も折り返し地点を通過。
後半スタートの水曜日より布絵教室が再開、
少しずつ日常が戻りつつありますが、
首都圏を中心に中々感染者が減らない状況に
先行き不透明感も増します。

来店された医療従事者からの生の声を聴くと
やはり油断せず引き続き感染しないように
努めなければいけないと認識させられました。
歴史上、パンデミックを乗り越えるのに1世紀を
費やしたこともあるとか。
こちらの都合よくとはいかないのでしょうね。

上手い美味いお土産



6月の誕生石である真珠。
宝飾品としての歴史はダイヤなどより遥かに古く、
4大文明の時代にも既に採集方法が壁画などにも
描かれていたほど。
きっと最初は誰かが食べた貝にガリッと
歯ごたえがあり、
吐き出したら綺麗な真珠が入っていた、
そんな発見だったのではないかと思われます。
天然真珠しか存在しなかった時代が長く続き、
真珠は一部の特別な方しか楽しめなかった中で、
御木本さんら日本人技師が真珠の養殖技術を確立、民衆化されたのはわずかまだ100年ほど前。
今でこそ”真珠は丸い”というイメージですが、
それは養殖真珠がマジョリティになってからの
お話しかと考えられます。
僕はこの仕事に携わってからもしばらくは不勉強で
何故丸いかもわかりませんでした。

”丸い真珠”は”丸い核”に貝が上手に丸く真珠層を
巻いてくれたもの。
実際の現場では貝を開くと丸だけでなく変形
”バロック”も数多く出てきます。
また、偶然の産物として無核真珠
”ケシ”というのもあります。
”バロック”や”ケシ”は形も表情も1粒1粒個性的。
変形ゆえ敢えて後から”お化粧”しないこともあり、
ハンドメイドの作家たちにとっても
オンリーワン好きな店主も心をくすぐられます。
(笑)
なので当店では真珠については
”ケシ”や”バロック”を中心に
作品をご紹介しております。


他の宝石と違い真珠生産を担うのが貝”様”。
美しい日本の真珠はアコヤ貝が真珠を育みます。
挿核出来る母貝になるまで3年は貝を"育てる"
時間に充てなければなりません。
現在、抗ウイルスなども考慮した人工交配で
稚貝は生産されているようですが、
海でもウイルスとの戦いはいたちごっこ。
1晩で全滅してしまうこともあるそうで
なかなか厳しい世界です。
昨年から真珠養殖で有名な英虞湾では
大変ご苦労されているというニュースを見つけ
二重の苦しみもあると知った次第です。

https://www.tokai-tv.com/tokainews/article.php?i=129567&date=20200610