2018年5月23日水曜日

1万円。

高校時代のとある大雨の日。
学校から帰った団地のエレベーターホールで
1人の男性が話しかけてきました。
何かの身分証を見せながら、財布を無くして
帰るお金がないので貸してほしい、とのこと。


さすがの僕でも、返るとは思わなかったが
悪い人ではなさそう。
でも、持ちあわせがないし、逃げ口実ともなる
『自宅に帰って持ってきます』
と告げエレベーターに。
普通、これでおしまいでいいのでしょう。
見ず知らずの人ですし。


男性もそう思っていたようで戻った時には
目を丸くしていました。


帰宅して母に一応、事の成り行きを説明し、
自分なりに騙されているのかもしれないけれど
悪い人ではなさそうだった、と伝えると
怒ったり、馬鹿にしたりすることも一切なく


『渡してらっしゃい』と言って


まさかの1万円を財布から取り出しました。
そんなに余裕のある家ではありません。
僕自身、驚きましたが
母が僕に何故?と一切聞かなかったので
僕も母に何故?と結局聞かずじまいでしたが
1万円という金額は、


『息子のお前を信じている。』


という無言のメッセージに思われ、
嬉しいのと、こんな自分で申し訳ないのと
なんとも複雑な気持ちでした。


まさか戻るとは思わなかったであろう男性。
お金を手渡すと、高校生の僕に深々と頭を下げ
立ち去って行きました。
勿論、お金は返ってきませんでしたが...。


親となり、娘が自分の『あの頃』にさしかかり
母から親としての覚悟を学んだ1万円、
そんな気がしています。


4月に開催させていただいた3周年イベント。
ひさしぶりに1日限定でオープンした
ワネストカフェのオーナーさんに
『売上の中から寄付をしませんか?』
と、また身勝手な提案をしてしまいましたが
快く応じてくださり、預かったご厚意を
漸くお届けすることが出来ました。


安藤さん、ライブ直後で汗びっしょりのところ
ありがとうございました!!
安藤さんの素敵なインタビュー記事です。


http://freezine.jp/people/2018/04/797/


託したお金が繋がってゆくそれぞれの場所で
嬉しい気持ちになる人がいることを
心豊かに想像出来ます。
心より感謝申し上げます。
Ted





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