2022年10月27日木曜日

バランスシート。

 ひと雨ごとに深まる秋。

晴れた日は一年で一番気持ちの良い季節。

夜明け前の早朝荷捌きになってきました。


オーダージュエリーの打ち合わせ中のこと。

僕が提示した価格にお客様が腑に落ちず

首を振りながら考え込む様子に、

こちらの落ち度があったのではと、

言葉を選びながら話しを進める。

どうやら経理のお仕事をされているようで

バランスシートに今回の見積もりを落とし込み、

どうしてもお客様が納得いかないのは、なんと、


『どう考えてもベルカテナさんが合わない。』


という、まさかの一言。

こちらのことを心配してくださるなんて、と

感激しました!!

そこからは僕も一応経理をかじる人間として、

以下の回答。

『はい、損益計算書上だけの見方で単純に

売上高に対し仕入と経費を差し引く、

ということですとお察しの通りかもしれません。

ですが今回イメージされたデザインは斬新で、

作家にも僕にとっても今後の制作に多くの

ヒントと経験を頂けるので、

その分は繰延資産として資産計上し、

後に償却する、というイメージです。』

そうお伝えすると漸くご納得の様子。

あまり好きではない経理の仕事。

まさかこのようなやくだてられるとは。

人生つくづく無駄なことはないものです。

複式簿記考えたやつスゴイ・・・(笑)

誤魔化そうとしても逃げ場がなく、

その意味では悔しいけど、

やればやるほど感心しております。(笑)

複式簿記は財務上のみならず、

個人的には思考法としても役立っており、

今回のケースはまさにそう。

ですので、このようにお話しさせていただき

かえって率直なお話しが出来ました。

因みに決算書というものは客観的事実、

と思われるかもしれません。

もちろんほぼその通りなのですが、

法人の意思が加味、込められたものと、

僕は考えております。

他界されたお父様の後を継ぐ方から

ご相談を受けたことがありますが

決算書を見せていただいたとき、

先代の意志、道半ばの無念さが

決算書から伝わり思わず涙したこともあります。

あっ、話しがそれました。


翌日、そのお客様が”補填”として工房にも、と

お菓子を届けてくださいました。

なんて素敵なことでしょう。





僕もお客様の気持ちに応えるための

とっておきの"ピース"を求め出かけた定休日。

取引先も僕の気持ちを汲み、素敵なご提案。

そんなときはいい出会いが待っているものです。

こうして気持ちの繋がりの先に出来る作品。

素敵なものになると思います。



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