2022年10月23日日曜日

50の風景。

 日程を決めた時から”その時”を迎える自分は

どんな心境なのだろう?と密かな楽しみだった

 見事な撤収作業を見届け空っぽの店で迎える

50歳の午前0時。

ちょっと期待していたところもありましたが

『やっぱりこっちか』と苦笑い。

それはそれで自分らしくていいのかも?



さすがに”折り返し点”とは言えない通過点は

自然とこれまでを振り返る気持ちになります。

端的に言えば、

”ない”中で今出来ることは何か?

そればかりを考えてきたように思います。

海外へ移住した兄からのメールは文末に大抵、

“エンジョイ”しろ、の定型文で結ばれます。

実はそれがとても下手な僕の性分が

付き合いの長い兄にはバレてますね。

(笑)

ミスチルの桜井さんがライブのMCで

『もし明日ミスチルでいられなくなっても、

きっと後悔はしないだろうな』

と言っててシビれましたが(説得力もあり)

僕は最善を尽くしてきたなどとても言えません。


『翌日も店開けるわよ。』とスタッフ。

少し休もうかな、という甘い気持ちも遮られ、

何とか最低限の準備をして工場へ”朝帰り”すると

机には従業員の改善提案書がどっさり。

さすがにカンベンしてー、と思いつつ

見ると最近赤ペン先生としてやりとりする

中学3年生のゴーストライターさんからでした。

外国人の父に代わり仕事の内容もわからず書く、

かなりな難易度です。

最初は赤ペン先生からのダメ出しで

提案書が真っ赤でしたが素直に受け入れ、

わずか数回ですっかり流れる文章となっていて

赤ペンを入れる余地なし。

感動で涙が止まらなくなった50歳初日の朝。


しかも仕事の内容を知りたいと工場に来て、

ついでに他の外国人の提案書まで代筆を手伝い、

そちらは見事1等事案。

人の役に立つ、という仕事の根本を体感出来、

彼女も悪い気分ではないはずです。

そしてこの肌で感じようと動く一歩こそ、

彼女にも従業員にも大切にしてほしいこと。

出会いという点を線で繋ぎ表れる絵が今の自分。

点が多いほど表情豊かに描けるように思います。

午後には初めて従業員がパーティーを企画し

面倒なことばかり言う上司を祝ってくれました。

従業員という存在あってこその、家族経営では

絶対に味わうことの出来なかった喜びを噛みしめ

またしても胸がいっぱいに…(笑)

今までサプライズ好きな僕が企画してきた

おっさんたちによる現場でパーリィー。

遊び半分、漫然と忙しがっている状態の従業員へ

時間は作り出すものという真面目な裏テーマを

機械の強制停止をヒントにと願っているのですが

こういうのって上司が主導しているだけでは

スベりがちなのが実際のところ。

今回、避難訓練+バースデーパーティーという

新たなパッケージにリニューアル。

貴重な時間を使うならより有効にという考え方、

ナイスアイデアです。

面倒な上司に格好のイジりネタを掴ませた

ツッコミどころ満載な避難訓練はご愛嬌として

ようやくバトンが渡せたようです。




夕方、店に戻るとスタッフが企画·作成も手掛ける

当店オリジナルサコッシュが2つ売れたと

誇らしげな報告あり。

歩けば身ぐるみ剥がされるカリスマモデル(笑)

あってこその売上と言えるのですが、

本人過小評価し過ぎで気付かないのがまた素敵。

とてもとても小さな会社の出来事ですが

どれも自分なりに撒いてきた種がようやく少し

根付いてきたかな?

50歳の風景も悪くないな、と

おかげさまで豊かな気持ちに浸る1日でした。


工場で倒れた父から救急車で受け取ったバトン。

僕の成長を待ち、母が50歳から始めた店、

というバトン。

1つでも順位を上げて次へ、

極めて単純なモチベーションをもとに、

良きことは1つ前進し、

良くないことはここまでとする。

戦国武将で2代目の名前が残らないように

繋がるかは別として、この交通整理までが

おそらくは大きな役割と気付きました。


『あなたは私より上品(じょうぼん)な人間。

良く学び、人生を切り拓きなさい。』


たしか生前最後の手紙に綴られていた一文。

兄がエンジョイなら母のそれは”よく学ぶこと”

結局最後にも書かせてしまったわけで、

まったく、”親の心子知らず”ですね。


『どうやら友達が私をどこかいいトコの

社長令嬢と勘違いしてるみたい』


と苦笑いする娘たち。(爆笑)

社長のムスメということは確かに嘘ではない。

でも実情に気付いているので、

社長にも年収200億のホリエモンさんから

(実は同い年)

”パパ”まで色々、という

ステレオタイプを疑え!!

他人の評価を信じるな!!

パンクなメッセージは果たせているかも?(泣)


『でもそのあとパパも頑張ったのよ』

と、後編を付加出来たあかつきには、

母と同じ思いを抱き、さらに、

僕からの定型文に『よく学び』が不要な娘たちに

”パパでもなら人生何とかなる”という

僕が両親からもらった(失礼だけど)

最高に安心なおまじないにはなるかも?

しれません。


長文、お粗末様でした。


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